SNSは「広場」、コミュニティは「居間」。熱量を循環させる連携デザイン
2025年12月22日

はじめに
「SNSは頑張って運用している。でも、コミュニティが思ったように育たない」
「イベント後は盛り上がるのに、時間が経つと静かになる」
——もし、こんな感覚が少しでもあるなら、その原因はSNSの選び方ではないかもしれません。
書籍『オウンドコミュニティ』第8章が提示しているのは、「どのSNSを使うか」ではなく、SNSとコミュニティをどう役割分担させるかという視点です。
同章では、この関係をとても分かりやすく整理しています。SNSは「広場」、コミュニティは「居間」。
広場には人が集まり、偶然の出会いや会話が生まれる。一方、居間は落ち着いて腰を据え、関係性を深める場所。
重要なのは、どちらか一方を頑張ることではありません。広場と居間を行き来できる"動線"を設計すること。この循環が回り始めたとき、ブランドとファンの関係は一段階深いものになります。
まとめ
- •SNSは「広場(拡散・話題化)」、コミュニティは「居間(定着・共創)」と定義し、相互送客する「循環」を設計する
- •閉じたコミュニティは停滞しやすい。内側の熱量やUGCをSNSへ"逆輸出"し、新しい出会いを呼び込む
- •企業の一方通行の発信から、ファンとともにつくる"共創型運用"へ。等身大の言葉が信頼と熱量を生む
- •Instagramは「共感」、Xは「対話・速報」、LINEは「日常の習慣化」など、各プラットフォームの特性に合わせてコンテンツを変換する(SCAMPER的発想)
SNS×オウンドコミュニティ連携で見落とされがちなのが、「流入」だけをゴールにしてしまうことです。確かに、SNSからコミュニティへ人を呼び込むことは大切ですがそれだけでは長続きしません。
本当に効いてくるのは、コミュニティで生まれた熱量を、再びSNSに"戻す"こと。たとえば、こんなシーンです。
- イベントでの印象的なやり取り
- メンバーのリアルな体験談
- 何気ない投稿から生まれた学びや気づき
これらを、SNSという「広場」で可視化する。すると、それを見た外の人がこう感じ始めます。
「なんだか楽しそう」「ここ、ちょっと気になる」
そうして新しい人が居間に入ってくる。居間で体験を重ね、言葉を交わし、また新しい語りが生まれる。それが再び広場へ"逆輸出"される——。
この往復運動が仕組みとして回り始めると広告費に頼らなくても、出会いと関係性が同時に育つ"持続的なエンジン"になります。
逆に言えば、外との接点がないコミュニティは流れの止まった池のように少しずつ停滞していきます。循環を意識するかどうかが、成長を分ける分岐点です。
ファン主導型のSNS運用
もう一つ重要なのが、SNS運用そのものの考え方です。企業が「正しく整った情報」を一方的に発信するだけではSNS上での説得力は年々弱くなっています。特にZ世代・ミレニアル世代は、"企業の言葉"より"誰が語っているか"を見ています。
そこで参考になるのが三越伊勢丹の「イセタニスタ」に代表される、ファン主導型のSNS運用です。コミュニティの中でも熱量の高いメンバーが発信に関わることで情報は「宣伝」ではなく、「生活者の実感」として届きます。
もちろん、
- 表現のばらつき
- ブランドガイドラインの整備
- 運用負荷の増加
といった課題があります。それでも、"ブランドが語る"から"ファンが語る"へ視点を切り替える価値は大きい。信頼と親近感は、管理された言葉より、等身大の声から生まれます。

プラットフォーム別の役割設計
最後に、SNS連携でありがちな落とし穴があります。それは、「リンクを貼って終わり」にしてしまうこと。
SNSにはそれぞれ文化と得意領域があります。同じ内容でも、そのまま流しては刺さりません。
そこで『オウンドコミュニティ』第8章では、SCAMPER法を使い、コンテンツを"変換"する発想を提示しています。
Instagram|共感をつくる
コミュニティ内のエピソードを「リアルで美しい日常」として再編集し、共感の入口をつくる。
X(旧Twitter)|対話をひらく
一過性の話題を投げて終わらせず、「続きはコミュニティで」という余白を残し、会話を居間につなぐ。
LINE|習慣にする
事務連絡ではなく、声をかける感覚で届ける。日常の中に自然な導線をつくり、参加を当たり前にする。
トレンドを追うよりも大切なのは、「このSNSを通じて、どんな体験を居間につなぐか」を考えること。
広場と居間、それぞれの役割を理解し、人が自然に行き来できる道をつくる。その循環設計こそが、SNS×オウンドコミュニティ連携の成功確度を高めていきます。
もし今、「SNSは動いているのに、コミュニティが伸びない」と感じているなら、それは設計の問題かもしれません。
広場と居間のあいだに、人が自然に歩きたくなる道は引けていますか?
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