書籍
ファンと共に育てるブランド戦略――オウンドコミュニティが変えるマーケティングの未来
2025年11月14日

はじめに
最近、広告や運用の判断が数字だけに寄っていないでしょうか。数値は伸びている、売上も上がっている――それなのに、どこかファンとの距離が広がっているように感じる。そんな違和感はありませんか。タイムラインには同じ表現、同じ打ち手が並び、効率化の果てに"人"との距離がむしろ開いていく。
いま必要なのは、一方的に「伝える」から、お互いに「関わり合う」へと発想を切り替えることだと、私たちは考えます。本書は、まさにその悩みを抱える企業に向けて、自社コミュニティ(オウンドコミュニティ)を持つ後押しをするために執筆しました。
以下に、オウンドコミュニティを扱った第一章のまとめを掲載します。続きが気になった方は、ぜひ本書をお手に取ってください。
まとめ
- 長期の関係資産を育む顧客・ファンと双方向に関わり共創する場=オウンドコミュニティ
- クローズド環境でUGCを蓄積し、他社情報に埋もれにくく、ユーザーと協働で良質なコンテンツを持続生成
- 発言・行動などの定性データから感情/動機を把握し、コアファンの特定と施策精度を高める
- データ主権 × 関係性の質 × SNS循環 × MVVの4点セットで、持続的に力を発揮するコミュニティ運営が実現
近年のデジタルマーケティングは、CPA(顧客獲得単価)やROAS(広告費用対効果)といった短期の効率指標に最適化されてきました。数値は管理しやすく、効果も見えやすい。一方で、打ち手が画一化・無機質化し、企業の内外で「大切なものを失っているのでは」という違和感が生まれています。これから求められるのは、単なる一方通行の情報発信ではなく、顧客やファンと双方向に関わる「オウンドコミュニティ」です。
オウンドコミュニティは、企業やブランドが自ら所有・運営する場所です。短期指標を追う「戦い」から、育み・協働へと発想を切り替える戦略基盤となります。企業はファンと協働しながらマーケティングを進め、長期の関係資産を築くことができます。メリットは多岐にわたります。まず、ファンとの共創によって、従来のオウンドメディアの弱点だった「良質で新鮮なコンテンツの継続生成」が可能に。クローズド環境でUGCを増やせるため、自社の声が他社情報に紛れにくくなります。

加えて、より深い顧客理解の基盤が手に入ります。属性や購買履歴などの定量データでは見えない、「なぜその行動なのか」「本当に求めているものは何か」という定性データが集まり、コアファンの特定と打ち手の精度向上につながります。ここで蓄積された一次情報は、AIの学習素材(ティーチデータ)としても価値が高く、将来の意思決定やクリエイティブの質を底上げします。また、データの主権という点でも強みがあります。企業がデータを直接保有できることで、外部プラットフォームの仕様変更や閉鎖リスクに左右されにくく、長期的に安定した運営が可能になります。
SNSとの関係は対立ではなく循環です。SNSを「広場」として新規関心を呼び込み、コミュニティという「居間」で深める。コミュニティで生まれた価値ある声やコンテンツを、再びSNSに届けて認知と信頼を広げる――この往復運動が、成長のループをつくります。そして運営のぶれ止めとなるのがMVV(Mission / Vision / Value)です。ファンや参加候補者へのヒアリング(=ファンコネクト)を通じてMVVを策定し、合意した指針を日々の意思決定の基準に据える。
データ主権 × 関係性の質 × SNS循環 × MVV――この4点がそろうことで、オウンドコミュニティは持続的に力を発揮します。

持続的に力を発揮するオウンドコミュニティの4つの柱
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